付属文書 農業 v1.4

Prev Next

タイトル

付属文書 農業

文書コード

A-07-SCRL-B-FA

1.4

対象者

農場認証保有者

強制力

拘束力のある文書

発効日

2026年3月1日

失効日

別途通知があるまでの間

公開日

2025年9月8日

関連文書(該当する場合、文書の番号と名称)

A-1-S-B-F-V1.4 レインフォレスト・アライアンス持続可能な農業基準

A-33-R-B-FA-V1.0 レインフォレスト・アライアンス再生農業基準

本文書の発行により廃止される文書

A-07-SCRL-B-FA -V1.3 付属文書 農業

本文書の内容について

この付属文書は、農業に関連するレインフォレスト・アライアンス基準に含まれる要件に関して、追加の拘束力のある内容が含まれています。

この文書には以下が含まれます。

  • 農薬管理についての基本要件に関する追加情報(禁止農薬リスト、廃止農薬リスト、リスク軽減農薬リストを含む)。

  • 持続可能な農業基準における、農薬を取り扱う労働者の健康と安全に関する追加の詳細情報。

  • 再生農業基準における、農業実践に関する追加情報。

本文書を用いるべき時と使い方

本文書は、認証保有者および認証機関に対し、要件の内容およびその実施に関する追加的な詳細情報を提供するものです。本文書は以下の3つの章に分かれています。

  • 農場基準の基本要件。

  • 持続可能な農業基準の要件。

  • 再生農業基準の要件。

基本要件はすべての農場に適用されます。持続可能な農業基準の要件および再生農業基準の要件には、それぞれの基準に適用される専門要件および/または継続的改善要件が含まれます。

第1.3版から第1.4版への改訂による変更点

項目

変更内容

全体

共通の基本要件および、持続可能な農業基準と再生農業基準の固有の要件をまとめた包括的なセクションを追加しました。

全体

文言を言い換え、明確化しました。

基本要件

農薬管理に関する基本要件を再配置し、明確化のため文言を修正しました。

1.1 禁止農薬リスト

ロッテルダム条約およびストックホルム条約に基づき、リスク軽減リストにあった有効成分を追加しました。

2.1 リスク軽減農薬リスト

禁止農薬リストに移された有効成分を削除しました。

3.例外的な使用の手順

再生農業基準に基づいて認証を受けた認証保有者(CH)による例外使用申請の条件を追加しました。

持続可能な農業基準の要件

専門要件5.6.13をこのセクションに移動しました。

再生農業基準

新しい再生農業基準の専門要件および継続的改善要件に関する追加情報を記載しました。

農場基準の基本要件  

本節では、レインフォレスト・アライアンスの持続可能な農業基準(SAS)および再生農業基準(RAS)における、それぞれの基本要件の実施に関して、さらに詳しく説明します。

1. 禁止農薬及び廃止農薬の不使用

認証農場では、禁止農薬および廃止農薬の使用が固く禁じられています。これらの物質は非常に有害な農薬(HHPs)に分類され、人の健康や環境に重大なリスクをもたらすか、現在では正式に登録されていないか、生産されていないか、または広く禁止されているかのいずれかにあたります。

1.1 禁止農薬リスト(要件4.6.1に関連)

レインフォレスト・アライアンス基準における禁止農薬リストは、FAO/WHOの毒性の高い農薬に関するガイドライン[1]に基づいています。これらのガイドラインには、8つの基準による毒性の高い農薬(HHP)の定義が含まれています。レインフォレスト・アライアンスの禁止農薬リストには、これらの各基準を示す8つの欄があります。

  1. WHOカテゴリー1A 人の健康にきわめて有害、または1B 人の健康に非常に有害 - 表では急性毒性として表示。

  2. 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)、発がん性が知られている、または疑われているもの(カテゴリー1Aおよび1B)- 表では慢性毒性、発がん性の欄に記載。

  3. 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)、変異原性で知られている、または疑われるもの(カテゴリー1Aおよび1B) - 表では慢性毒性、変異原性の欄に記載。

  4. 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)、生殖毒性で知られている、または疑われているもの(カテゴリー1Aおよび1B)- 表中では慢性毒性、生殖毒性物質の欄に記載。

  5. モントリオール議定書、オゾン層破壊物質 - 表中では国際条約、アルファベットMと記載。

  6. ロッテルダム条約(条約の附属書Ⅲに記載され、PIC手続きの対象となるもの)- 表中では国際条約のアルファベットRと記載。

  7. ストックホルム条約、残留性有機汚染物質(POPs)- 表中では国際条約、アルファベットSと記載。

  8. 深刻な影響、農薬の有効成分および製剤が、レインフォレスト・アライアンスの解釈により、人の健康または環境に重篤または不可逆的な悪影響を及ぼす可能性が高いことを示したもの - 表中では「深刻な影響」と記載。

レインフォレスト・アライアンスの技術専門家は、レインフォレスト・アライアンス禁止農薬リストを定期的に見直しています。モントリオール議定書、ロッテルダム条約、ストックホルム条約、WHO(クラスIaまたはIb)またはGHS(発がん性1A/1B、変異原性1A/1B、生殖毒性1A/1B)の参照リストに追加された農薬は、このリストの改訂版に含まれます。また、人の健康または環境に深刻な、または不可逆的な有害な影響を及ぼす可能性が高い物質に関する新たな証拠も、このリストに含めるかどうかの検討対象となります。新たに追加される物質については、生産者が代替品を見つけるのを支援するため、段階的な廃止期間が設けられます。

生産者はこのことを考慮し、可能であれば代替品を使用し、これらの条約に掲載されることを見越してこれらの農薬を段階的に廃止するよう強く求められています。

主な使用略語:A:殺ダニ剤、Ad:アジュバント(機能性展着剤)、Fun:殺菌剤、Fum:燻蒸剤、H:除草剤、I:殺虫剤、N:殺線虫剤、R:殺鼠剤、Wood Pres.:木材保存剤

番号

禁止農薬
有効成分または有効成分基

CAS番号

主な用途

急性毒性

慢性毒性

国際条約

深刻な影響

発がん性

変異原性

生殖毒性

1.

アバメクチン

71751-41-2

I

1B

2.

アセトクロール

34256-82-1

A, I, N

3.

アクロレイン

107-02-8

H

1B

4.

アラクロール

15972-60-8

H

R

5.

アルジカルブ

116-06-3

I, A

1A

R

6.

α‐クロロヒドリン

96-24-2

R

1B

7.

アルファ-BHC; アルファ‐HCH

319-84-6

I, A

S

8.

リン化アルミニウム

20859-73-8

Fum

9.

アミトロール

61-82-5

H

10.

アントラセンオイル

90640-80-5

多様

11.

ヒ素及びその化合物

複数

多様

1B (a)

12.

アトラジン

1912-24-9

H

13.

アザフェニジン

68049-83-2

H

14.

アジンホスエチル

2642-71-9

I, A

1B

15.

アジンホスメチル

86-50-0

I, A

1B

R

16.

ベノミル

17804-35-2

Fun

17.

ベータ-シフルトリン; シフルトリン

68359-37-5

I, A

1B

18.

ベータ-HCH; ベータ-BCH

319-85-7

I, A

S

19.

ブラストサイジンS

2079-00-7

Fun

1B

20.

ホウ砂、ホウ酸塩*

複数

I, A

21.

ホウ酸

10043-35-3

I, A

22.

ブロディファコウム

56073-10-0

R

1A

23.

ブロマジオロン

28772-56-7

R

1A

24.

ブロメタリン

63333-35-7

R

1A

25.

ブロモホスエチル

4824-78-6

I

1B

26.

ブロモキシニル[2]

1689-84-5

H

27.

ブロモキシニルブチレート

3861-41-4

H

28.

ブロモキシニルヘプタノエート

56634-95-8

H

29.

オクタン酸ブロモキシニル

1689-99-2

H

30.

ブトカルボキシム

34681-10-2

I, A

1B

31.

ブトキシカルボキシム

34681-23-7

I, A

1B

32.

カズサホス

95465-99-9

N, I, A

1B

33.

シアン化カルシウム

592-01-8

R

1A

34.

カプタホール

2425-06-1

Fun

1A

R

35.

カルベンダジム

10605-21-7

Fun

36.

カルベタミド

16118-49-3

H

37.

カルボフラン

1563-66-2

I, A

1B

R

38.

カルボスルファン

55285-14-8

I, A

1B

R

39.

クロルデン

12789-03-6

I, A

R, S

40.

クロルエトキシホス

54593-83-8

I, A

1A

41.

クロルフェンビンホス

470-90-6

I, A

1B

42.

クロルメホス

24934-91-6

I, A

1A

43.

クロロファシノン

3691-35-8

R

1A

44.

クロロタロニル

1897-45-6

Fun

45.

クロロトルロン

15545-48-9

H

46.

クロルピリホス

2921-88-2

I, A

47.

クロルピリホスメチル

5598-13-0

I, A

48.

クロチアニジン

210880-92-5

I, A

49.

クマホス

56-72-4

I, A

1B

50.

クマテトラリル

5836-29-3

R

1B

51.

クレオソート

8001-58-9

Wood Pres.

52.

シプロコナゾール

94361-06-5

Fun

53.

DDT

50-29-3

I, A

R, S

54.

ジメトン−S−メチル

919-86-8

I, A

1B

55.

ジクロルボス; DDVP

62-73-7

I, A

1B

56.

ジコホル

115-32-2

I, A

S

57.

ジクロトホス

141-66-2

I, A

1B

58.

ジフェナコウム

56073-07-5

R

1A

59.

ジフェチアロン

104653-34-1

R

1A

60.

ジメトモルフ[3]

110488-70-5

Fun

61.

ジモキシストロビン

149961-52-4

Fun

62.

ジノカップ

39300-45-3

Fun

63.

ジノテルブ

1420-07-1

H

1B

64.

ダイファシノン

82-66-6

R

1A

65.

ジスルホトン

298-04-4

I, A

1A

66.

DNOCおよびその塩

複数

Fun

1B

R

67.

ベノミル7%以上、カルボフラン10%以上、チウラム15%以上を含む粉剤。

複数

I, A

R

68.

E-ホスファミドン

297-99-4

I, A

1A

R

69.

エディフェンホス

17109-49-8

I, A

1B

70.

エンドスルファン; アルファ-エンドスルファン; ベータ-エンドスルファン*

115-29-7; 959-98-8; 33213-65-9

I, A

R, S

71.

エピクロロヒドリン

106-89-8

I, A

72.

EPN 300

2104-64-5

I, A

1A

73.

エポキシコナゾール

133855-98-8

Fun

74.

エチオフェンカルブ

29973-13-5

I, A

1B

75.

エトプロホス; エトプロップ

13194-48-4

N, I, A

1A

76.

二臭化エチレン; 1,2-ジブロメタン

106-93-4

Fum

R

77.

二塩化エチレン; 1,2-ジクロロエタン

107-06-2

Fum

R

78.

エチレンオキシド

75-21-8

Fum

R

79.

エチレンチオ尿素

96-45-7

その他

80.

ファムフール

52-85-7

I, A

1B

81.

フェナミホス

22224-92-6

N, I, A

1B

82.

フェンチオン

55-38-9

I, A

1B

R

83.

フェンクロラゾール-エチル

103112-35-2

H

84.

酢酸トリフェニルスズ

900-95-8

Fun

85.

水酸化トリフェニルスズ

76-87-9

Fun

86.

フィプロニル

120068-37-3

I, A

87.

フロクマフェン

90035-08-8

R

1A

88.

フルアジホップブチル

69806-50-4

H

89.

フルシトリネート

70124-77-5

I, A

1B

90.

モノフルオール酢酸アミド

640-19-7

I, A

1B

R

91.

フルシラゾール

85509-19-9

Fun

92.

ホルメタネート

22259-30-9

I, A

1B

93.

フラチオカルブ

65907-30-4

I, A

1B

94.

グルホシネートアンモニウム塩および異性体

複数

H

95.

ヘプテノホス

23560-59-0

I, A

1B

96.

ヘキサクロロベンゼン

118-74-1

Fun

1A

R, S

97.

ヘキサクロロシクロヘキサン; BHC異性体混合物

608-73-1

I, A

R

98.

シアン化水素

74-90-8

Fum

1A

99.

イミダクロプリド

138261-41-3

I, A

100.

イプロジオン

36734-19-7

Fun

101.

イソキサチオン

18854-01-8

I, A

1B

102.

リンデン

58-89-9

I, A

R,S

103.

リニュロン

330-55-2

H

104.

リン化マグネシウム

12057-74-8

Fum

105.

マンゼブ[4]

8018-01-7

Fun

106.

メカルバム

2595-54-2

I, A

1B

107.

水銀及びその化合物

複数

Fun

R

108.

メタミドホス

10265-92-6

I, A

1B

R

109.

メチダチオン

950-37-8

I, A

1B

110.

メトキシクロル

72-43-5

I

1B

S

111.

メチオカルブ

2032-65-7

I, A

1B

112.

メソミル

16752-77-5

I, A

1B

113.

臭化メチル

74-83-9

Fum

M

114.

メビンホス

7786-34-7

I, A

1A

115.

モリネート

2212-67-1

H

116.

モノクロトホス

6923-22-4

I, A

1B

R

117.

ニコチン

54-11-5

I, A

1B

118.

ニトロベンゼン

98-95-3

I, A

119.

オメトエート

1113-02-6

I, A

1B

120.

オキサミル

23135-22-0

N, I, A

1A

121.

オキシデメトンメチル

301-12-2

I, A

1B

122.

DMSO抽出量3%以上のパラフィンオイル

複数

Adj, A, Fun

123.

パラコート

4685-14-7

H

124.

パラコートジクロリド

1910-42-5

H

125.

パラチオン

56-38-2

I, A

1A

R

126.

パラチオンメチル

298-00-0

I, A

1A

R

127.

PCP; ペンタクロロフェノールおよびその塩

87-86-5

Wood Pres.

1B

R, S

128.

ホレート

298-02-2

I, A

1A

R

129.

ホスファミドン

13171-21-6

I, A

1A

R

130.

ホスフィン

7803-51-2

Fum

131.

プロフォキシジム

139001-49-3

H

132.

プロペタンホス

31218-83-4

I, A

1B

133.

プロピコナゾール

60207-90-1

Fun

134.

酸化プロピレン、オキシラン

75-56-9

Fum

135.

キザロホップ-p- テフリル

119738-06-6

H

136.

シラフルオフェン

105024-66-6

I, A

137.

シアン化ナトリウム

143-33-9

R

1B

138.

モノフルオロ酢酸ナトリウム(1080)

62-74-8

R

1A

139.

スピロジクロフェン

148477-71-8

I, A

140.

ストリキニーネ

57-24-9

R

1B

141.

スルフルラミド

4151-50-2

I, A

R, S

142.

スルホテップ

3689-24-5

I, A

1A

143.

テブピリミホス

96182-53-5

I, A

1A

144.

テフルトリン

79538-32-2

I, A

1B

145.

テプラロキシジム

149979-41-9

H

146.

テルブホス

13071-79-9

N, I, A

1A

147.

硫酸タリウム

7446-18-6

R

1B

148.

チアクロプリド[5]

111988-49-9

I, A

149.

チアメトキサム

153719-23-4

I, A

150.

チオファノックス

39196-18-4

I, A

1B

151.

チオメトン

640-15-3

I, A

1B

152.

チオ尿素

62-56-6

多様

153.

トリアジメノール

55219-65-3

Fun

154.

トリアゾホス

24017-47-8

I, A

1B

155.

トリブチルスズ化合物

複数

Fun

R

156.

トリクロルホン; メトリホナート

52-68-6

I, A

R

157.

トリデモルフ

81412-43-3

Fun

158.

トリフルミゾール

68694-11-1

Fun

159.

バミドチオン

2275-23-2

I, A

1B

160.

ヴィンクロゾリン

50471-44-8

Fu

161.

ワルファリン

81-81-2

R

1B

162.

Z-ホスファミドン

23783-98-4

I, A

1A

R

163.

リン化亜鉛

1314-84-7

R

1B

(a):このグループの一部の有効成分はWHOの1aまたはWHOの1bに分類されます

1.2 廃止農薬リスト(要件4.6.1に関連)

以下の表には、レインフォレスト・アライアンス基準に記載されている「廃止農薬リスト」が示されています。これらの有効成分は、現在では正式に登録されていない、製造されていない、あるいは広く禁止されているものです。これらの農薬は、レインフォレスト・アライアンス認証を取得している生産者が活動する国々では依然として入手可能である可能性があるため、リストに記載しています。

番号

廃止農薬
(有効成分)

CAS番号

1.

2,3,4,5-ビステトラヒドロ-2-フルアルデヒド

126-15-8

2.

2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸

93-76-5

3.

2,4,5-トリクロロフェノール, カリウム塩

35471-43-3

4.

アルドリン

309-00-2

5.

ビナパクリル

485-31-4

6.

クロラニル

118-75-2

7.

クロルデコン(ケポン)

143-50-0

8.

クロロジメフォルム

6164-98-3

9.

クロロベンジレート

510-15-6

10.

DBCP

96-12-8

11.

ディルドリン

60-57-1

12.

ジノセブおよびその塩とエステル

88-85-7

13.

エンドリン

72-20-8

14.

ヘプタクロル

76-44-8

15.

レプトホス

21609-90-5

16.

マイレックス

2385-85-5

17.

ニトロフェン

1836-75-5

18.

オクタメチルピロホスホルアミド(OMPA)

152-16-9

19.

プロファム

122-42-9

20.

サフロール

94-59-7

21.

シルベックス

93-72-1

22.

ストロバン

8001-50-1

23.

TDE

72-54-8

24.

トキサフェン(カンフェクロル)

8001-35-2

2. リスク軽減農薬の管理

リスク軽減農薬の使用は推奨されておらず、また、人の健康や環境に重大なリスクをもたらすことが知られているため、生産者はこれらの農薬の使用を避けるよう努めなければなりません。これらの農薬はIPM戦略の範囲内で、また人と環境を保護するための関連するリスク軽減措置が完全に実施されている場合にのみ使用すべきです。

2.1 リスク軽減農薬リスト(要件4.6.2に関連)

レインフォレスト・アライアンス基準のリスク軽減リストは、オレゴン州立大学総合植物防疫センターの最先端科学リスク査定ツール「ipmPRiM」とその最新の結果に基づくものです[6]。これらの物質の使用は、IPM戦略の範囲内で、かつ、下の表に記載されているような関連するリスク軽減策が完全に実施されている場合にのみ許可されます。

主な使用略語:A:殺ダニ剤、Ad:アジュバント(機能性展着剤)、Fun:殺菌剤、Fum:燻蒸剤、H:除草剤、I:殺虫剤、N:殺線虫剤、R:殺鼠剤、Wood Pres.:木材保存剤

番号

リスク軽減農薬

CAS番号

主な用途

高レベル

PPE

水生生物

リスク

野生動物

リスク

授粉媒介者リスク

局外者のリスク

1.

1,3-ジクロロプロペン

542-75-6

Fum

2.

2,4-D 2-エチルヘキシルエステル

1928-43-4

H

3.

2,4-D、イソオクチルエステル

53404-37-8

H

4.

アセフェート

30560-19-1

I, A

5.

アセキノシル

57960-19-7

I, A

6.

アセタミプリド

135410-20-7

I, A

7.

アシフルオルフェン、ナトリウム塩

62476-59-9

H

8.

アミトラズ

33089-61-1

I, A

9.

アニラジン

101-05-3

Fun

10.

アゾキシストロビン

131860-33-8

Fun

11.

ベンオカルブ

22781-23-3

I, A

12.

ベンフルラリン

1861-40-1

H

13.

ベンフラカルブ

82560-54-1

I, A

14.

ベンスリド

741-58-2

H

15.

ベンタゾン、ナトリウム塩

50723-80-3

H

16.

ビフェントリン

82657-04-3

I, A

17.

ブロマシル

314-40-9

H

18.

キャプタン

133-06-2

Fun

19.

カルバリル

63-25-2

I, A

20.

カルタップ

15263-53-3

I, A

21.

クロルフェナピル

122453-73-0

I, A

22.

クロルピクリン

76-06-2

Fum

23.

クロゾリネート

84332-86-5

Fun

24.

水酸化銅

20427-59-2

Fun

25.

酸化銅(II)

1317-38-0

Fun

26.

酸化銅(I)

1317-39-1

Fun

27.

塩基性塩化銅

1332-40-7

Fun

28.

塩基性塩化硫酸銅

8012-69-9

Fun

29.

硫酸銅(無水物)

7758-98-7

Fun

30.

硫酸銅(五水和物)

7758-99-8

I, A

31.

ロンコカルパスの根エキス

CAS番号なし

32.

シアナジン

21725-46-2

H

33.

シクロエート

1134-23-2

H

34.

シハロトリン

68085-85-8

I, A

35.

γ-シハロトリン

76703-62-3

I, A

36.

λ-シハロトリン

91465-08-6

I, A

37.

α-シペルメトリン

67375-30-8

I, A

38.

β-シペルメトリン

65731-84-2

I, A

39.

ダゾメット

533-74-4

Fum

40.

デルタメトリン

52918-63-5

I, A

41.

ダイアジノン

333-41-5

I, A

42.

ジクロベニル

1194-65-6

H

43.

ジクロラン

99-30-9

Fun

44.

ジクロホップメチル

51338-27-3

H

45.

ジフェンゾコートメチル硫酸

43222-48-6

H

46.

ジフルベンズロン

35367-38-5

I, A

47.

ジメテナミド

87674-68-8

H

48.

ジメテナミド-P

163515-14-8

H

49.

ジメトエート

60-51-5

I, A

50.

ジノテフラン

165252-70-0

I, A

51.

ジクワットジブロミド

85-00-7

H

52.

ジクワットイオン

2764-72-9

H

53.

ジウロン

330-54-1

H

54.

ドジン

2439-10-3

Fun

55.

d-trans-アレトリン(ビオアレトリン)

584-79-2

I, A

56.

エマメクチン安息香酸塩

137512-74-4

I, A

57.

EPTC

759-94-4

H

58.

エスフェンバレレート

66230-04-4

I, A

59.

エタルフルラリン

55283-68-6

H

60.

エチオン

563-12-2

I, A

61.

エトキサゾール

153233-91-1

I, A

62.

ファモキサドン

131807-57-3

Fun

63.

酸化フェンブタスズ

13356-08-6

I, A

64.

フェニトロチオン

122-14-5

I, A

65.

フェノキシカルブ

79127-80-3 / 72490-01-8

I, A

66.

フェンプロパトリン

39515-41-8

I, A

67.

フェンピロキシメート

134098-61-6

I, A

68.

フェンバレレート

51630-58-1

I, A

69.

フェルバム

14484-64-1

Fun

70.

フルアジナム

79622-59-6

Fun

71.

フルフェナセット

142459-58-3

H

72.

フルミオキサジン

103361-09-7

H

73.

フルオピラム

658066-35-4

Fun

74.

フルピラジフロン

951659-40-8

I, A

75.

ホルペット

133-07-3

Fun

76.

フォメサフェンナトリウム

108731-70-0

H

77.

塩酸ホルメタネート

23422-53-9

I, A

78.

グリホサート、イソプロピルアミン塩

38641-94-0

H

79.

グリホサート-トリメシウム

81591-81-3

H

80.

ハロキシホップ-P

95977-29-0

H

81.

ヘキサジノン

51235-04-2

H

82.

インドキサカルブ、S異性体

173584-44-6

I, A

83.

ヨードスルフロンメチルナトリウム塩

144550-36-7

H

84.

イソキサベン

82558-50-7

H

85.

レナシル

2164-08-1

H

86.

石灰硫黄合剤

1344-81-6

I, A

87.

ルフェヌロン

103055-07-8

I, A

88.

マラチオン

121-75-5

I, A

89.

マレイン酸ヒドラジド

123-33-1

H

90.

マレイン酸ヒドラジドカリウム塩

28382-15-2

H

91.

マンネブ

12427-38-2

Fun

92.

MCPA、2-エチルヘキシルエステル

29450-45-1

H

93.

MCPA、イソオクチルエステル

26544-20-7

H

94.

メタラキシル

57837-19-1

Fun

95.

メタム

144-54-7

Fum

96.

メタムカリウム

137-41-7

Fum

97.

メタムナトリウム

137-42-8

Fum

98.

メトコナゾール

125116-23-6

Fun

99.

メトプレン

40596-69-8

I, A

100.

ヨウ化メチル

74-88-4

Fum

101.

イソチオシアン酸メチル

556-61-6

I, A

102.

メチラム

9006-42-2

Fun

103.

メトラクロール

51218-45-2

H

104.

メトラクロール (S)

87392-12-9

H

105.

メトリブジン

21087-64-9

H

106.

精製鉱油

8042-47-5

I, A

107.

モノリニュロン

1746-81-2

H

108.

ミクロブタニル

88671-89-0

Fun

109.

ナレド

300-76-5

I, A

110.

ナプロパミド

15299-99-7

H

111.

ノルフルラゾン

27314-13-2

H

112.

ノバルロン

116714-46-6

I, A

113.

オリザリン

19044-88-3

H

114.

オキサジアゾン

19666-30-9

H

115.

オキシカルボキシン

5259-88-1

Fun

116.

オキシフルオルフェン

42874-03-3

H

117.

オキシチオキノックス; キノメチオナート

2439-01-2

Fun, A

118.

PCNB(キントゼン)

82-68-8

Fun

119.

ペンディメタリン

40487-42-1

H

120.

ペルメトリン

52645-53-1

I, A

121.

ホサロン

2310-17-0

I, A

122.

ホスメット

732-11-6

I, A

123.

ピリミカーブ

23103-98-2

I, A

124.

ピリミホスメチル

29232-93-7

I, A

125.

プロフェノホス

41198-08-7

I, A

126.

プロメトリン

7287-19-6

H

127.

プロパモカルブ塩酸塩

25606-41-1

Fun

128.

プロパニル

709-98-8

H

129.

プロパルギット

2312-35-8

I, A

130.

プロポキスル

114-26-1

I, A

131.

プロスルフロン

94125-34-5

H

132.

ピラクロストロビン

175013-18-0

Fun

133.

ピラゾホス

13457-18-6

Fun

134.

ピレトリン

8003-34-7

I, A

135.

ピリダベン

96489-71-3

I, A

136.

ピリダリル

179101-81-6

I, A

137.

レスメトリン

10453-86-8

I, A

138.

ロテノン

83-79-4

I, A

139.

S-ジメテナミド

163515-14-8

H

140.

シマジン

122-34-9

H

141.

塩素酸ナトリウム

7775-09-9

H

142.

テトラチオ炭酸ナトリウム

7345-69-9

Fun

143.

スピネトラム(XDE-175-J)

187166-40-1

I, A

144.

スピノサド(スピノシンAとスピノシンDの混合物)

131929-60-7 /

168316-95-8

I, A

145.

スルフェントラゾン

122836-35-5

H

146.

テクナゼン

117-18-0

Fun

147.

テフルベンズロン

83121-18-0

I, A

148.

テラゾール; エトリジアゾール

2593-15-9

Fun

149.

テトラクロルビンホス、Z異性体

22248-79-9

I, A

150.

テトラコナゾール

112281-77-3

Fun

151.

チアベンダゾール

148-79-8

Fun

152.

チオベンカルブ

28249-77-6

H

153.

チオジカルブ

59669-26-0

M

154.

チオファネートメチル

23564-05-8

Fun

155.

トルフェンピラド

129558-76-5

I, A

156.

トリアレート

2303-17-5

H

157.

トリアザメート

112143-82-5

I, A

158.

トリクロピル、トリエチルアミン塩

57213-69-1

H

159.

トリフロキシストロビン

141517-21-7

Fun

160.

トリフルムロン

64628-44-0

I, A

161.

トリフルラリン

1582-09-8

H

162.

トリホリン

26644-46-2

Fun

163.

トリチコナゾール

131983-72-7

Fun

164.

ゼータ-シペルメトリン

52315-07-8

I, A

165.

ジネブ

12122-67-7

Fun

166.

ジラム

137-30-4

Fun

2.2 リスク軽減農薬の使用に関するリスク軽減措置(要件4.6.2に関連)

リスク軽減農薬リストに記載されている物質を使用する場合、リスクカテゴリーごとに、以下の特定のリスク軽減措置を実施しなければなりません。

  1. より高レベルの個人用防護具が必要とされる農薬とは、職業曝露リスク査定で、曝露による重大な急性、または慢性リスクの可能性が実証されている農薬のことを指します。より高レベルの防護用具(PPE)が必要として指定されている農薬は、以下の場合にのみ使用されます。

    1. 製品ラベルまたは製品安全データシート(MSDS)の規定通りにPPEが使用される場合。散布者のPPEの詳細がラベルに記載されていない場合は、目を保護するもの(フェイスマスクやゴーグルなど)、および呼吸用保護具(防毒マスクなど)を備えた基本的な防護服を着用しなければならない。

  2. 水生生物陸生野生動物に有害であるとしてリストに記載がある農薬は、以下の場合にのみ使用されます。

    1. 農薬の飛散や他の経路を介した農薬汚染を回避するための制度が導入され維持されている。これには、散布区域から自然生態系、公道、人間が活動している地域、およびインフラストラクチャを含む他の領域へと及ぶ農薬汚染が含まれる。この手順には、農作物以外の植生防壁農薬散布禁止地帯、その他の効果的な方法が含まれる。

  3. 花粉媒介者リスクがあるとしてリストに記載されている農薬は、以下の場合にのみ適用されます。

    1. より毒性が低く、効果がある農薬が利用できない場合。

    2. 農薬散布禁止地帯や植生防壁を設けることで、自然生態系が農薬にさらされるのを最小限に抑えられる場合。

    3. 花粉媒介者がこれらの農薬への接触を、次の方法でさらに減らす。

      1. 花をつける雑草に農薬を散布しない、または花をつける雑草を除去する。

      2. 農作物の開花の最盛期に農薬を散布しない。

        バナナ、カカオ、ブドウ、レモングラス、パイナップル、オオバコ、サトウキビ、茶類は適用外。

  4. 局外者へのリスクがあるとしてリストに記載されている農薬は、吸入リスクが高く、以下の場合にのみ適用されます。

    1. 立ち入り制限期間(REI)が設定されていること。

    2. すべての散布場所に、傍観者の吸入リスクを示す旗や印が立てられていること。

    3. 農薬取扱者が、有機ガス(OV)用カートリッジ、または N・R・P または100シリーズフィルターを装着したキャニスター付きの呼吸用保護具を使用していること。

傍観者とは、農場労働者、農薬取扱者、またはその家族以外で、吸入により農薬にさらされる人を指します。

3. 例外的な使用の手順

例外的な状況下では、非常に有害な農薬の段階的な廃止に取り組む生産者を支援するために、レインフォレスト・アライアンスの禁止農薬リストに含まれる有効成分の使用を例外的に認める場合があります。例外が認められるのは、特定の農作物/病害虫および地理的範囲(国または国の一部)です。

再生農業基準に基づいて認証を受けている認証保有者の場合、例外申請はさらに、実行可能な代替手段の有無、物質の毒性、生態系の健全性および長期的な回復への潜在的影響に基づいて評価されます。

3.1 例外的使用方針(要件4.6.2に関連)

禁止農薬の使用に関する、申請が許可される例外とその条件については、レインフォレスト・アライアンス基準の基本要件4.6.2に紐付けられている「例外的な使用に関する方針」に記載されています。生産者は、例外的な使用に関する方針にすでに記載されている例外を使用するために、追加の承認を得る必要はありません。

例外が認められる場合、その期間は限定的かつ特定の期間に限られます。それが現実的でない場合、レインフォレスト・アライアンスは別の期間を設定することがあります。レインフォレスト・アライアンスの技術的IPMチームによる評価を経て、承認された例外は「例外的な使用に関する方針」に追加されます。この方針は、以下に述べる手順に従って、半年ごとに改訂および発行されます。

  1. 認証保有者が、例外的な農薬使用の申請フォームを通じて、禁止されている有効成分の使用を正式に提出。

  2. 6月30日までに提出された申請は同年の下半期に審査され、7月1日から12月31日の間に提出されたものは翌年の上半期に審査される。

  3. レインフォレスト・アライアンスが、認められた例外とその条件を含む「例外的な使用に関する方針」の最新版を、毎年1月と7月に公開する。

3.2 緊急時の例外

「例外的な使用に関する方針」の手続きでは対応できない、禁止されている有効成分を緊急かつ一時的に使用する正当化できる必要がある場合、認証保有者は緊急時の例外を申請することができます。この例外はそれぞれの認証保有者に限定され、一時的かつ一回限りのものであり、延長は認められません。

緊急申請を提出する場合、認証保有者は、その物質が必要とされる必要性、必要性の詳細、状況、期間を記入した、農薬の例外的な使用に関する緊急申請 フォームを記入する必要があります。

技術的IPMチームが申請を審査し、最低でも5営業日以内に、認証保有者へ直接回答を返信します。この回答は、例外が認められたかどうかを認証保有者に通知し、また適用される条件の概要を示すものです。

4. 農薬の空中散布に関する条件

本章では、レインフォレスト・アライアンス基準の基本要件4.6.7を満たすために、有人航空機および無人機による農薬の空中散布に関する要件を規定しています。

4.1 有人航空機による空中散布(要件4.6.7に関連)

農薬の空中散布は、レインフォレスト・アライアンスが別途定める場合を除き、使用国の適用法または、以下の要件のうち、より厳しい方を遵守する必要があります。空中散布に関する以下のレインフォレスト・アライアンス要件は、科学的証拠に基づいて将来変更される可能性があります。

  1. 空中散布用の液体を運搬するヘリコプター、飛行機、またはその他の有人航空機による空中散布には、次の要件が適用される。

    1. 能力のある技術者によって実施される。

    2. MSDSおよび/またはラベルの指示内容、濃度、および注意事項と一致している。

  2. ヘリコプター、飛行機、その他の有人航空機による空中散布は、以下の状況において禁止される。

    1. 農薬が、WHOの分類で「1A 人の健康に極めて有害」、「および1B 人の健康に非常に有害」に分類されている場合。

    2. 公道[7]、人間が活動している地域[8]、動物農場、水生生態系を含む自然生態系など、農場の法的境界線外の地域への農薬の空中散布。

    3. 以下のいずれかの条件が発生した場合の農薬の空中散布。

      1. 気温が30℃を超える場合

      2. 風速が時速15kmを超える場合。

      3. 気温の逆転現象がある場合。

  3. ヘリコプター、飛行機、その他の有人航空機で空中散布をする際に使用する機器は、以下の条件を満たしていなければならない。

    1. 航空機には全地球測位システム(GPS)が搭載され、GPSシステムに接続されている自動遮断弁、または手動遮断弁を装備する。

    2. 散布ブームの長さは最大で翼長の80%であること。

    3. 散布機器は、その仕様に従って最適な状態であること。

    4. 散布機器は、能力のある技術者によって6ヶ月ごとに較正され、較正記録が保管されていること。

  4. ヘリコプター、飛行機、その他の有人航空機による空中散布は、人の健康と自然生態系を保護するため、以下の要件を遵守するものとする。

    1. 第三者への通知と保護を目的とした、目に見える信号システムまたは効果的な警告メカニズムが導入されていること。これには、以下を含む

      1. 農場または団体の管理者が管理する道路の場合、空中散布の影響を受ける可能性のある人々を特定し、事前に通知する。

      2. 散布区域への立ち入りが禁止され、その区域内の道路が閉鎖され、適切な再立ち入り期間が守られること。

    2. 散布区域に隣接する地域への悪影響を緩和するための飛行計画[9]を策定する。農薬の散布は飛行計画内の決められた区域で行い、農薬散布禁止地帯が厳守されていること。飛行高度は、農作物または植生防壁の林冠から最大5メートル。

    3. 植生防壁または農薬散布禁止地帯を設定することで、隣接区域への空中飛散を防止。農薬散布禁止地帯は、少なくとも次の条件を満たす。

      1. 公道、人間の活動地域、動物農場、自然生態系(河川を除く)に隣接する幅30メートル。

      2. 河川の場合、河川堤防ごとに幅15メートルの農薬散布禁止地帯を設ける。

    4. 恒常的な[10]水がある一次または二次排水路に適用する場合。

      1. 幅6メートルまでの排水路は植生で覆われていること。

      2. それより幅の広い排水路は、認証取得後3年以内に、排水路を可能な限り覆う植生(樹木やその他の植生など)で覆うこと。より広い排水路への散布は可能な限り避けること。

      3. 排水路沿いの植栽および被覆は、認証取得後最初の3年間に実施しても良い。ただし、認証取得1年目と2年目に、排水路の少なくとも3分の1を植栽することが条件となる。

  5. 各空中散布時には、以下の内容を含む業務報告書を記録する。

    1. 対象地の位置。

    2. 散布の日時(開始時刻と終了時刻)。

    3. 有効な散布範囲の幅、機種、接頭記号(プレフィクス)、航空機の種類を含む、実施された散布方法の種類と散布機器の種類。

    4. 散布によって処理された農作物および面積(ヘクタール単位)、境界線、障害物、道路、送電網、建物、影響を受けやすい地域(人間の活動地域および自然生態系)、磁北および地理座標(少なくとも1座標)を示す地域の略図。

    5. 散布された農薬。これには、ラベル名、有効成分、各製品の濃度(1リットルあたりの量、1キログラムあたりの量、または有効成分の割合)、および各製品の散布量を含むものとする。

    6. 農薬を取り扱う者の氏名。

    7. 飛行および散布パラメーター:飛行高度、散布中の気象条件(気温の推移、風速および風向き)。

    8. 散布範囲の方向(写真)。地理参照システムによる飛行経路の位置、および散布がディファレンシャルGPS(中波帯の電波を用いてGPSの測位精度を向上させるシステムのこと(DGPS))を使用して行われたかどうかを明記。

4.2 ドローンによる空中散布(要件4.6.7に関連)

以下の要件は、ドローンおよびその他の無人航空機(UAV)に適用されます。ドローンの使用とそれに関する法規制は急速に発展しているため、これらの要件は将来変更される可能性があります。

  1. ドローンによる農薬の空中散布は、散布国のすべての現行法に従うものとする。これには、一般的なドローンおよび/またはUAVに適用されるすべての法律、特にドローンおよび/またはUAVによる農薬の空中散布に適用されるすべての法律が含まれる。

  2. 農薬の空中散布に使用されるドローンは、農薬の空中散布という作業のために特別に設計・製造されたものである。ドローンは、信号が途絶えた場合に散布区域外へ飛び出さないように、操縦者のもとに戻る、その場でのホバリング、および/またはゆっくりとした垂直降下などの安全設定を備えているものとする。操縦者は、最高速度を含め、ドローンの製造者からのすべてのガイダンスに従う。

  3. ドローンによる空中散布は、この作業のために免許を持つトレーナーから特にこの作業のために訓練を受けた、免許を持つ操縦者が実施する。操縦者は、少なくとも1年間のドローン操縦の専門的な経験を有し、そのうち少なくとも6ヶ月および/または25時間の空中散布用に設計されたドローン操縦の経験を有すること。操縦者は、そのようなドローンで少なくとも年間50時間の操縦を行う。

  4. 操縦に先立ち、操縦者は使用する化学物質(ブランド名、有効成分、濃度、その濃度における有効成分に関連するあらゆる健康および環境リスク)に関する書面を受け取る。

  5. 飛行計画には、容器を補充する場所と方法が含まれるものとする。

  6. 植生防壁または農薬散布禁止地帯を設定することで、隣接区域への空中飛散を防止する。ドローンによる農薬散布禁止地帯の幅は少なくとも10メートル必要である。認証保有者は、レインフォレスト・アライアンスに対し関連する認証機関を通じて、このパラメータ内でドローンによる農薬散布の正確性を証明できる場合、農薬散布禁止地帯の幅を5メートルに縮小する例外許可を申請することができる。例外許可は、散布を行う前に申請し、承認される必要がある。  

  7. 飛行前、操縦者は、航空機の回収、化学物質の清掃と保管、ドローンや化学物質の流出により影響を受ける可能性のある個人への警告を行うための手順とツールを装備するものとする。

  8. 操縦者は、許可された濃度よりも高い濃度で使用しないことを含め、使用する化学薬品の製造者からの手引きにすべて従うものとする。

  9. ドローンのナビゲーションシステムと飛行計画が互いに干渉しないことを条件として、複数のドローンを同時に飛行させることができる。1人の操縦者が同時に操縦できるドローンの数は3機までとする。

  10. 農薬の空中散布が下請業者によって行われる場合、農場所有者と下請業者の間で別段の合意がない限り、ドローンの使用に関連する事故や悪影響が発生した場合、農場所有者が責任を負い、それに関連するすべての損害を軽減する責任を負うものとする。

  11. 認証保有者は、空中散布に使用するドローンが関わる事故について、少なくとも5年間、記録を保管し、審査員またはレインフォレスト・アライアンスからの要請に応じて提出する必要がある。

持続可能な農業基準の要件

本節では、レインフォレスト・アライアンスの持続可能な農業基準(SAS)にのみ適用される、専門要件および/または継続的改善要件の実施に関して、追加の詳細情報を提供します。

5. 農薬使用に関連する健康と安全

農薬を取り扱うことは、労働者にとって健康上のリスクとなります。これらのリスクを予防・軽減するためには、専門要件5.6.13の遵守が極めて重要です。

5.1 労働者に対する健康診断(要件5.6.13に関連)

持続可能な農業基準の専門要件5.6.13では、責任者は有害な農薬を扱う労働者に、毎年健康診断を受けさせることを義務付けています。この医療記録は秘匿されなければならず、また労働者は閲覧できなければなりません。

有機リン系およびカーバメート系農薬を扱う労働者は、医療ガイドラインに従って、曝露前にコリンエステラーゼ基準検査を、また定期的にモニタリングおよび検査を受けなければなりません。検査結果は、内々に労働者に通知する必要があります。

健康への悪影響が生じた場合、責任者は他の作業員に影響が及ばないよう、リスクを速やかに軽減しなければなりません。責任者は、一時的に配置換えを行ったり、影響を受けた労働者へ必要な医療支援を提供したりするなど、医療機関の勧告に基づく改善措置を実施する必要があります。これらの措置は、労働者の費用負担なしに、かつ報酬に影響を与えることなく実施することが望ましいです。このアプローチは、農薬を取り扱う人々の健康と安全を維持することの重要性を強調しています。

有機リン系およびカーバメート系は、コリンエステラーゼ酵素を阻害し、急性および慢性曝露の両方で同様の症状を引き起こす可能性があります。同一人物が複数の用途で使用している場合、曝露はさまざまな経路から起こり得ます。また、有機リン系薬剤に同時に晒されると、さらなる毒性が生じる可能性があります。

5.2 有機リン系農薬およびカーバメート系農薬の一覧

有機リン系農薬

  • アセフェート

  • アジンホスエチル

  • アジンホスメチル

  • ベンスリド

  • ブロモホスエチル

  • カズサホス

  • クロルフェンビンホス

  • クロルメホス

  • クロルピリホス

  • クロルピリホスメチル

  • ジメトン−S−メチル

  • ダイアジノン

  • ジクロルボス; DDVP

  • ジクロトホス

  • ジメトエート

  • ジスルホトン

  • エディフェンホス

  • エトプロホス; エトプロップ

  • エチオン

  • ファムフール

  • フェナミホス

  • フェニトロチオン

  • フェンチオン(PIC条約推奨)

  • ヘプテノホス

  • イソキサチオン

  • レプトホス

  • マラチオン

  • メビンホス

  • メタミドホス

  • メチダチオン

  • モノクロトホス

  • ナレド

  • オキシデメトンメチル

  • パラチオン

  • パラチオンメチル

  • ホレート

  • ホサロン

  • ホスメット

  • ホスファミドン

  • ピリミホスメチル

  • プロフェノホス

  • プロペタンホス

  • スルホテップ

  • テルブホス

  • テトラクロルビンホス、ジソマー

  • トリアゾホス

カーバメート

  • アルジカルブ

  • ベンオカルブ

  • カルバリル

  • カルボフラン

  • フェノキシカルブ

  • ホルメタネート

  • 塩酸ホルメタネート

  • メチオカルブ

  • メソミル

  • オキサミル

  • ピリミカーブ

  • プロポキスル

再生農業基準の要件

本節では、レインフォレスト・アライアンスの再生農業基準(RAS)にのみ適用される、専門要件および/または継続的改善要件の実施に関して、追加の詳細情報を提供します。

6. 更新・植え替えと回復のための植物品種

本節では、再生農業基準の専門要件 4.1.4(病害虫や疫病に強い、または耐性のある植物品種の選定)に準拠するための情報を提供します。

6.1 植物品種の選定(専門要件4.1.4に関連)

生産区域の栽培、接ぎ木、更新・植え替えを行う際には、以下の作物固有の要件を遵守しなければなりません。

作物ごとの要件

カカオ

農場に高収量かつ相性の良い品種が2品種以上存在しなければならない。

茶類

農場には3種類以上の異なるクローン/品種を使用しなければならない。

7. 作物の回復と更新と植え替え

本節では、再生農業基準の専門要件4.2.2に関連し、作物の健全性と生産性の向上を目的とした規定を示します。

7.1 回復と更新・植え替えの実施(専門要件4.2.2に関連)

生産者は、どの生産区域を更新・改植または回復すべきかを判断する際には、作物ごとに定められたサイクルを参照し、植物の年齢を考慮して、持続的な生産性と収益性を確保する必要があります。

生産者は、実施した作業について詳細な記録を保持しなければならず、どの作業が、いつ、どの農場区画に対して実施されたのかを明記し、審査員またはレインフォレスト・アライアンスからの要請に応じて、それらを提示できるようしなければなりません。記録には、回復、更新・植え替え、剪定、切り株処理および/または接ぎ木作業を含めます。

回復または更新・植え替え作業を行う際には、以下の作物固有の要件を考慮しなければなりません。

作物ごとの要件

コーヒー

生産者は、更新・植え替えまたは回復のサイクルを維持・実施し、いかなるコーヒー農場単位も7年以上放置されないようにします。

8. 土壌肥沃度と保全

本節では、肥料の施用を最適化し、土壌の健全性を改善し、合成肥料への依存を減らすことを目的として、再生農業基準の専門要件4.4.7および4.4.9に準拠するための詳細情報を示しています。

8.1 肥料施用計画(要件4.4.7に関連)

肥料の施用に関しては、以下の特定の要件を実施しなければなりません。

作物ごとの要件

ブラジルの柑橘類

生産者はバイオインプット(生物由来の投入資材)を施用し、毎年の土壌分析を通して、土壌微生物群の活動が改善傾向にあることを証明します。この分析には、微生物酵素活性(例:アリールスルファターゼ、β-グルコシダーゼ)や、その他の微生物学的指標の測定し、土壌の生物機能の改善を確認することが含まれます。

8.2 土壌被覆の維持(専門要件4.4.9に関連)

生産者は、土壌被覆を維持するため、以下の作物別の指針に従うことが求められます。

作物ごとの要件

コーヒー

収穫時には、地面に落ちたコーヒー豆の収集を容易にするため、土壌を裸地のままにしておくことがある。

茶類

栽培の全段階で、土壌は覆われている。若い農園では、少なくとも40%の地表が露出しており、成熟した農園では、少なくとも20%の地表が露出しているものとする。

9. 統合的病害虫管理(IPM)

本節では、除草剤使用量の削減と農場の生物多様性向上を扱う、再生農業基準の専門要件4.5.3の実施に関する追加の詳細情報を示しています。

9.1 総合的雑草管理(専門要件4.5.3に関連)

統合的雑草管理の一環として、以下の作物固有の要件を遵守しなければなりません。

作物ごとの要件

茶類

生産者は、主につる性の雑草が摘み取り面に到達しないよう管理しなければならない。

ブラジルの柑橘類

統合的雑草管理(IWM)プログラムには、エコな(環境に配慮した)草刈りも含まれる。

10. 農薬管理

本節では、再生農業基準の専門要件4.6.16に準拠するための追加条件を列挙しています。

10.1 有効成分使用の削減計画(専門要件4.6.16に関連)

計画には、本付属文書の第3節に規定される、例外の下で使用が認められている有効成分の使用を、段階的に削減・廃止することが盛り込まれなければなりません。

この計画には、以下を含める必要があります。

  • 農業生態学的および総合的害虫管理(IPM)に基づく代替手段についての、病害虫ごとの分析。

  • 有効成分の削減目標を、使用量および/または毒性レベルに基づいて設定する。

  • 目標達成に対する進捗評価。この際、農薬使用記録やIPM戦略を考慮するものとする。

生産者団体に属する小規模農場については、団体責任者が、団体全体の農薬削減計画を策定・調整する責任を負います。

この計画は毎年更新され、審査員またはレインフォレスト・アライアンスからの要請に応じて提示できる状態にしておかなければなりません。さらに、この農薬削減計画は、要件4.6.14で規定された方針と整合し、要件4.5.1に定められたIPM戦略と一致している必要があります。

注:この計画は、時間の経過とともに進捗を示すことが求められ、進捗が確認できない場合、要件4.6.16への不適合と見なされます。

その他の情報

本付属文書の(第1.0版)初版日:2022年7月1日

「拘束力のある」と記載された文書は、認証に際して遵守する必要があります。「任意」または「拘束力のない」と記載された文書は、読者が要件やその他の拘束力のある情報を正しく理解し、その実施を支援するための非義務的な情報を提供しています。

翻訳免責事項

翻訳版に記載された情報の正確な意味について質問がある場合は、公式の英語版をご確認ください。翻訳により生じた誤りや意味の差異には拘束力がなく、審査や認証には一切影響しません。

レインフォレスト・アライアンスの書面による事前の同意なしに、本付属文書の複製、変更、配布、または再発行をすることは固く禁じられています。

詳細について

レインフォレスト・アライアンス認証の取得については、カスタマーサクセスチーム(customersuccess@ra.org)までお問い合わせください。

レインフォレスト・アライアンスの詳細については、https://www.rainforest-alliance.org/ja/ にアクセスするか、info@ra.orgまたは レインフォレスト・アライアンス アムステルダム事務所(Rainforest Alliance Amsterdam Office, De Ruijterkade 6, 1013AA Amsterdam, The Netherlands)にお問い合わせください。

脚注

  1. 農薬の管理に関する国際行動規範、毒性の高い農薬に関するガイドライン、FAO/WHO、2016年。

  2. ブロモキシニルとそのエステル(ブロモキシニルブチレート、ブロモキシニルヘプタノエート、オクタン酸ブロモキシニル)は、2021年12月17日発行の第1.3版で、生殖毒性1BとしてGHS分類が更新されたため、リスク軽減リストから禁止リストに移動しました。この変更の実施を促進するため、2022年12月17日まで1年間の段階的な廃止期間が設けられています。

  3. ジメトモルフは、GHS分類の更新により、2021年6月30日の第1.2版の禁止リストに追加されました。

    この変更の実施を促進するため、2022年6月30日まで1年間の段階的な廃止期間が設けられています。

  4. マンゼブは、GHS分類の更新により、2021年6月30日の第1.2版でリスク軽減リストから禁止リストに移動しました。この変更の実施を促進するため、2022年6月30日まで1年間の段階的な廃止期間が設けられています。

  5. チアクロプリドは、GHS分類の更新により、2021年6月30日の第1.2版でリスク軽減リストから禁止リストに移動しました。この変更の実施を促進するため、2022年6月30日まで1年間の段階的な廃止期間が設けられています。

  6. ポール・C・ジェプソン他による論文「人と環境の健康リスクを低減する農薬の選択」、『Lancet Planet Health』、2020年2月号。DOI: https://doi.org/10.1016/S2542-5196(19)30266-9

  7. 利用可能な場合、この用語および道路に関するその他の用語の解釈は、適用される法的定義に基づきます。この要件の目的は、人に散布されないことを確実にすることです。これは、道路沿いに農薬散布禁止地帯を設定するか、道路を閉鎖することで実現できます。農場区域内の道路で、外部の人が時々通るような道路であれば、どちらの方法を選んでも構いません。

  8. 人が現れる可能性がある地域。

  9. 飛行時間、飛行経路、速度、高度、気象条件、その他安全な飛行に必要な関連事項を含む、飛行計画の主要データを記載した書面。  

  10. 恒常的な水とは、通常、年間を通して排水溝に水があることを意味します。ただし、エルニーニョのような例外的な気象現象が発生した場合は、一時的に水が途切れることがあります。