文書名 | レインフォレスト・アライアンス 手引き:データの収集・検証・妥当性確認 |
文書コード | A-25-SRCL-N-FA |
版 | 1.0 |
対象者 | 農場認証保有者 |
強制力 | 拘束力を有さない文書 |
発効日 | 2025年10月1日 |
失効日 | 別途通知があるまでの間 |
公開日 | 2025年6月24日 |
関連文書(該当する場合、文書の番号と名称) | |
本文書の発行により廃止される文書 | 該当なし |
本文書の内容について
本書は、基準の要件1.7.1に定められた指標に関する文書「付属文書 指標」に基づき、農場認証保有者が関連するデータを効率的に収集できるようにすることを目的とするものです。本手引き書は、データ収集の手順を合理化し、認証保有者にとって煩雑ではなく、また、より正確に行えるようにすることを目指しています。また、ここに示される指示は明確かつ詳細であり、収集されたデータが検証および妥当性確認の基準を満たすよう設計されています。
本文書を用いるべき時と使い方
本文書は、農場認証保有者が「付属文書 指標」に記載されたデータを収集するにあたり、参考となるよう意図されています。
1. はじめに
データは効果的な持続可能性への取り組みの基盤であり、レインフォレスト・アライアンスの取り組みにおいても不可欠な要素です。信頼性の高いデータは、生産者が持続可能性の進捗状況を把握し、進化する市場へのアクセスを確保するだけでなく、企業が自社の社会的および環境的影響を報告するよう求める高まる圧力に対応するためにも不可欠です。
データプロセスに関する変更の目的は、収集されるデータの正確性を高め、認証保有者の事務的負担を軽減することにあります。徹底的な見直しの結果、データ項目の数は全部で45項目に削減されました。加えて、すべての指標が1つの参照元、すなわち要件1.7.1 に統合されました。これは拘束力を持つ文書「付属文書 指標」と関連しています。この手引きでは、各データ項目について詳細に説明されており、データの収集方法についてより詳しく説明されています。
農場認証保有者は、引き続きデータ収集の責任を負います。認証機関は、収集データの検証(根拠の確認)および妥当性確認(情報が適切で、一貫性があり、完全かつ正確であることの承認)を行います。
データは、レインフォレスト・アライアンスのプラットフォーム上で年に1回報告されます。生産者団体に属する小規模農場においては、まずツールを用いてデータを取得し、その最終結果をレインフォレスト・アライアンス認証プラットフォームに入力する必要があります。
以下の図は、新しいデータ検証および妥当性確認の手順をわかりやすく示したものです。
2. 留意点
小規模農場を含む生産者団体の場合、データの収集とレインフォレスト・アライアンス プラットフォームでの報告は、常に団体責任者の責任となります。
生産者団体内の大規模農場の場合、データ収集は大規模農場ごとに行います。ただし、そのデータが正確に収集され、レインフォレスト・アライアンス プラットフォーム上で期日内に報告されたことを確認する責任は、常に団体責任者にあります。
収集されるデータには、認証保有者の認証周期の当年の、前年に該当する1年間のものが反映されます。この期間は、前回または次回の報告期間との重複や抜けがない、連続する12カ月間を意味するものです。
小規模農場を含む生産者団体の場合、要件1.4.1もデータ項目の収集に適用されます。そのため、最初の認証審査では、団体責任者は小規模農場の100%から該当データを収集する必要があります。それ以降の審査では、生産者団体内の小規模農場の少なくとも35%、および新たに団体に追加された農場が対象となります。ただし、高リスクと判断された認証保有者の場合は例外で、団体責任者は毎年、構成員の100%に対して内部監査とデータ収集を行う必要があります。このため、団体責任者は、レインフォレスト・アライアンス プラットフォーム上の指標に関する調査で、データを収集した小規模農場の数を記載してください。
複数のレインフォレスト・アライアンス認証農作物を扱っている場合は、最も大きな面積を占める作物についてデータの収集・報告を行ってください。
データ項目は審査対象の一部であり、審査確定前に認証機関(CB)に提出する必要があります。
団体責任者は、内部監査または自己査定の後、毎年RACP上で指標を報告するものとします。
3. 事前評価対処方式に関する指標
事前評価対処方式は、児童労働、強制労働、差別、職場内暴力とハラスメントといった人権リスクの積極的な特定、防止、改善を優先するアプローチです。これは、制裁を恐れて事案が隠蔽されがちな厳格なゼロ・トレランス方式(小さな問題にも厳格な処罰を適用する、非寛容な処分方式)とは異なり、事前評価対処方式では、責任あるリスク管理と継続的な改善の一環として、違反の報告を奨励しています。
事前評価対処方式が適切に機能しているということは、違反報告が全くない、という意味ではなく、事案が積極的に特定され、報告され、対処されている、ということです。特に高リスク地域において違反報告がまったくない場合は、実際に違反がないのではなく、むしろ過少報告の可能性があると見なされます。
事前評価対処方式の枠組みでは、4つの重点分野における事案のモニタリング、特定、改善、フォローアップに関するデータを収集・報告するための複数の指標が設けられています。これらの指標により、企業やその他の関係者はサプライチェーンにおける自身の取り組みの影響を適宜に把握することができ、また生産者レベルで重要課題が適切に対処されていることを確認できます。
3.1 ジェンダーに基づく差別を区別する理由
レインフォレスト・アライアンスでは、ジェンダーに基づく差別の程度や実態をよりよく理解し、それに対処するための対策を実施するために、ジェンダー差別とその他の形態の差別を区別することにしました。さらにこの区別には、以下の3つの理由があります。
1) ジェンダー差別は社会的・文化的規範に深く根付いており、これらの問題に対応するには的を絞った介入が必要であること。
2) ジェンダー委員会は、この種の差別に取り組む上で重要な役割を果たす必要があること。
3)特定の利害関係者(NGO、地方自治体、ジェンダーや女性の権利に関連する機関)との連携が不可欠であること。
4. データ収集の指針
日陰樹種
データ項目 | 農場あたりの日陰樹種の数 |
関連要件 | なし |
説明 | レインフォレスト・アライアンス認証農場に存在する、日陰樹の異なる種の数。ここでいう日陰樹とは、認証農作物に日陰を提供している木を指す。植樹済みでも、まだ日陰を提供していない若木や小さな苗木などは含まれない。 |
目的 | 農場あたりの日陰樹の種の多様性を高めることで、土壌品質を改善し、生物多様性を保全し、水源保護を最適化し、また炭素隔離を通じて気候変動の緩和策に寄与することを目的とする。 |
測定単位 | 数値 |
収集方法 | レインフォレスト・アライアンス認証農場内のアグロフォレストリー構成に含まれる日陰樹の種を特定し、異なる種の数をカウントする。また、(認証保有者の自らの記録用として)各樹種の通称も記録すること。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
日陰樹の密度
データ項目 | 1ヘクタールあたりの日陰樹の本数(平均) |
関連要件 | なし |
説明 | レインフォレスト・アライアンス認証農場に存在する、日陰樹の本数。 |
目的 | 農場あたりの日陰樹の数を増やすことで、土壌品質を改善し、生物多様性を保全し、水源保護を最適化し、また炭素隔離を通じて気候変動の緩和策に寄与すること。ここでいう日陰樹とは、認証農作物に日陰を提供している木を指す。植樹済みでも、まだ日陰を提供していない若木や小さな苗木などは含まれない。 |
測定単位 | 数値 |
収集方法 | 農場内の既存のアグロフォレストリー構成を代表する区画を3つ選び、(農場に3区画以下しかない場合は、そのすべて含める)それぞれの区画で日陰樹の総本数をカウントし、選定した区画の名前または番号も併せて、区画ごとのデータを記録する。その後、3区画の平均樹木数を算出し、それを農場全体のデータとして記録する。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
RACP報告期限 | 審査確定の2週間前まで。 |
有機肥料の使用
データ項目 | 有機肥料の使用量(リットルまたはキログラム) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の継続的改善要件4.4.6 |
説明 | 認証農作物に対して、農場で1年間に散布された有機肥料の量。この情報は、翌年の施肥効率を向上させるための改善点の特定に役立てられる。 注:この指標では、市販の有機肥料のみを対象とする。 |
目的 | 過去1年間に農場でレインフォレスト・アライアンス認証農作物に散布された市販の有機肥料の量を把握・記録し、そのデータを積極的に活用して、翌年の肥料効率向上の機会を特定し、実施すること。 |
測定単位 | リットルおよび/またはキログラム |
収集方法 | 肥料の購入記録および散布記録を使用して、レインフォレスト・アライアンス認証農作物に散布された(商業用に製造された)有機肥料の総量に関する情報を収集する。 生産者団体の場合、この情報は内部監査/自己査定の際に年1回、収集するものとする。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間データを整理統合する。 |
無機肥料の使用
データ項目 | 無機肥料の使用量(リットルまたはキログラム) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の継続的改善要件4.4.6 |
説明 | 農場でレインフォレスト・アライアンス認証農作物に対して1年間に散布された無機肥料の量。この情報は、翌年の施肥効率を向上させるための改善点の特定に役立てられる。 |
目的 | 過去1年間に農場でレインフォレスト・アライアンス認証農作物に散布された無機肥料の量を把握・記録し、そのデータを積極的に活用して、翌年の肥料効率向上の機会を特定し、実施すること。 |
測定単位 | リットルおよび/またはキログラム |
収集方法 | 肥料の購入記録および散布記録を使用して、レインフォレスト・アライアンス認証農作物に散布された無機肥料の総量に関する情報を収集する。 |
基準年 | 前年。 |
データ収集時期 | 少なくとも月1回。内部監査/自己査定前に年間データを整理統合する。 |
RACP報告期限 | 審査確定前に、認証機関に送付する審査前提出書類の一部として提出する。 |
推定認証製品生産量
データ項目 | 前年の推定認証製品生産量(キログラムまたは、花の場合は本数) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の基本要件2.1.1 |
説明 | 前年に収穫された認証農作物の総推定数量。 |
目的 | 前年の認証製品生産量(kg)を正確に見積もることで、 サプライチェーン全体におけるトレーサビリティに関する認証基準を確実に遵守するため、また、当年度の生産計画を策定する。
信頼性の高い収穫量の見積もりは、生産者や団体管理者にとって農場管理の向上を促し、適正な農業慣行の導入を支援し、さらにサプライチェーンの透明性にもつながる。また、正確に認証農作物の数量を把握することは、レインフォレスト・アライアンス認証プログラムおよびトレーサビリティシステムの信頼性確保に不可欠である。 |
測定単位 | 収穫された農作物1ヘクタールあたりのキログラム、または花の場合には1ヘクタールあたりの本数。 |
収集方法 | 生産者は、前年の収穫量を見積もるための方法論を文書化しなければならない。その際、過去数年の収穫量や、品種の変更、改修された区画の収穫開始、病害虫被害や土壌問題または水不足など、生産量の増加または減少の原因となる生産体制の変更を考慮する必要がある。また、生産者は、推定収穫量と認証書で最初に報告された数量に差異が生じた場合は、その調整内容も記録・保管しなければならない。 「手引き書G:収穫量推定」では、さまざまな農作物や生産条件を取り上げ、より正確な収穫量を見積もるための基本的な手法について説明している。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
RACP報告期限 | 審査確定前までに、認証機関に送付する審査前提出書類の一部として提出する。 |
農場規模
データ項目 | 農場面積(ヘクタール単位(ha)) |
関連要件 | 生産者団体の農場に対する持続可能な農業基準第1.4版の基本要件1.2.3 |
説明 | 認証農場の総面積。 |
目的 | 認証保有者または各構成員の認証範囲を確認するうえで必要な情報として、認証農作物の農場の総面積の最新記録を管理すること。その際、(生産者団体の場合は)レインフォレスト・アライアンスが提供する団体構成員登録フォームを使用して記録する。 |
測定単位 | ヘクタール(ha) |
収集方法 | 生産者は、土地の所有権または使用権に関する文書(譲渡証書、賃貸借契約書、土地権利書など)と地所の地図を併せて使用し、レインフォレスト・アライアンスが提供するフォーム(GMRなど)に記載された認証範囲に含まれる総面積を記録する必要がある。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
生産区域
データ項目 | 生産区域の面積(ヘクタール単位(ha)) |
関連要件 | 生産者団体の農場に対する持続可能な農業基準第1.4版の基本要件1.2.3 農場向け認証規則 - すべての認証保有者に適用される規則2.1.3 |
説明 | レインフォレスト・アライアンス認証農作物の生産区域の面積。 |
目的 | 認証保有者または各構成員の認証範囲を確認する上で必要な情報として、認証農作物が生産されている区域の面積を常に最新の状態で記録・管理すること。その際、レインフォレスト・アライアンスが提供する団体構成員登録フォームを使用して記録する。 |
測定単位 | ヘクタール(ha) |
収集方法 | 生産者は、土地の所有権または使用権に関する文書(譲渡証書、賃貸借契約書、土地権利書など)と地所の地図を併せて使用し、レインフォレスト・アライアンスが提供するフォーム(GMRプラットフォームなど)に、認証範囲に含まれる認証農作物の生産に使用された総面積を記録する必要がある。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
農薬の使用
データ項目 | 農薬の使用量(リットルおよび/またはキログラム単位)を殺虫剤・殺鼠剤・殺菌剤・除草剤・その他に分類して記録。 |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の基本要件4.6.8 |
説明 | 前年に、レインフォレスト・アライアンス認証農作物に対して散布されたすべての農薬濃縮液(殺虫剤・殺鼠剤・殺菌剤・除草剤・その他)の総量。 |
目的 | 年間の農薬濃縮液の使用量を正確に把握し、農薬の責任のある使用を奨励し、環境への悪影響を最小限に抑え、毒性の強い農薬や禁止農薬の使用を削減することで、持続可能な病害虫管理の実践を確保することを目的とする。 |
測定単位 | キログラムおよび/またはリットル |
収集方法 | 農薬の使用記録および散布記録を用いて、RA認証農作物に散布された農薬(殺虫剤・殺鼠剤・殺菌剤・除草剤・その他)の総量を収集する。 生産者団体の場合、内部監査または自己査定の前に情報の統合を完了させておくこと。 ここで求められているのは農薬の濃縮状態の総量であり、希釈後の量ではないので注意すること。 |
データ収集時期 | 少なくとも月1回。生産者団体の場合、内部監査/自己査定前に情報を整理統合する。 |
灌漑用水の使用
データ項目 | 灌漑に使用された水の総量(ℓ) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の継続的改善要件6.5.3 |
説明 | 灌漑に使用した水の量。 このデータ項目は、農場で灌漑が実施されている場合のみ対象となる。 |
目的 | レインフォレスト・アライアンス認証農作物に灌漑用水を使用している場合、農作物の生産性を最適化しつつ、水の浪費、土壌浸食、塩類化を最小限に抑えるよう、灌漑システムを維持する必要がある。 灌漑用水の使用量を1年目から追跡することで、効率的な水源管理を促進する。また、生産者が水の消費量を監視し、水資源を最適化し、持続可能な農業実践を支援できるようにする。 |
測定単位 | リットル |
収集方法 | 農場に設置された灌漑用水の取水地点にある生産者が有する水量計測システムを用いて、毎日(またはシステムの使用頻度に応じて)水の消費量を記録する。使用している機器の測定単位を確認し、必要に応じてリットルに換算する。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
加工用水の消費量
データ項目 | 加工に使用された水の総量(ℓ) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の継続的改善要件6.5.4 |
説明 | 前年にレインフォレスト・アライアンス認証農作物の加工処理に使用された水の総量。 |
目的 | 認証1年目から加工用水の使用量を追跡することにより、生産者が水の消費状況を把握し、水資源を最適化し、持続可能な農業の実践方法の支援を実現するための、効率的な水源管理の促進することを目的としている。 |
測定単位 | リットル |
収集方法 | 収穫した農作物の加工に使用される水の取水地点に設置された生産者の計測装置の値を読み取ることで、毎日(または加工の頻度に応じて)水の使用量を記録する。測定した単位を確認し、必要に応じてリットルに変換してデータを取得する。生産者が取水場所に計測装置が設置していない場合は、加工処理活動のために貯めた水の量を測定する。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
加工用木材の消費量
データ項目 | 加工に使用された木材の総量(kg) |
関連要件 | なし。 |
説明 | 前年にレインフォレスト・アライアンス認証農作物の加工処理に使用された木材の総量。 |
目的 | 加工用木材の使用を追跡することにより、生産者が木材の消費状況を把握し、木材資源を最適化し、持続可能な農業の実践方法の支援を実現するための、効率的な木材の管理の促進することを目的としている。 |
測定単位 | キログラム |
収集方法 | 加工処理に必要な木材使用量を把握するために設置された生産者のシステムに基づき、木材の使用量を(加工の実施頻度に応じて)記録する。 管理者はその記録をもとに、キログラム単位で総使用量を追加する。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
自然植生
データ項目 | 農場面積のうち、自然植生が占める割合(%) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の継続的改善要件6.2.3 |
説明 | 農場内で自然植生に覆われている部分の総面積。アグロフォレストリーを導入している農場では、樹木被覆のデータも収集され、これには在来種および帰化種の樹木を含める必要がある。 |
目的 | 自然植生に覆われている状態を継続的に維持・監視し、進捗を把握するために毎年報告すること。 |
測定単位 | ヘクタール(ha) |
収集方法 | 認証保有者が(ポリゴンまたは他の指定された法方を用いて)、自然植生に覆われている面積を測定する。生産区域外に自然植生を有している認証保有者の場合、適用範囲は、基準および用語集で定義される「自然植生」の定義(復元・再生中の区域全体(樹木、低木、草本などを含む植生)を対象とする)に従うものとする。その面積の合計を報告すると、調査においてパーセンテージに換算される。ただし、アグロフォレストリーシステムを導入している農場の場合は、その適用範囲は樹木(在来種かどうかを問わず)にのみに限られ、低木、草本などその他の種類の自然植生被覆には適用されない。改めて、アグロフォレストリーの被覆面積の合計を報告することが求められる。 (生産区域内に)アグロフォレストリーシステムを有し、生産区域外に自然植生を有する認証保有者の場合、認証保有者は両方の合計を算出する必要がある。RACPの指標データでは、認証保有者は生産区域外の自然植生の面積に関する質問(小規模農場の生産者団体は合算して報告可)に回答するとともに、アグロフォレストリーの樹木被覆面に関する質問にも、別途回答するよう求められる。 なお、「手引き書M:自然生態系と植生」では、保全区域や生産地域内における自然植生の測定方法(アグロフォレストリーの日陰樹の被覆など)について解説されている。 |
データ収集時期 | 年初、年間管理計画の更新作業の間に行う。内部監査に先がけて変更点を確認・更新する。 |
報告された事例(事前評価対処方式)
データ項目 |
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関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の基本要件5.1.3 |
根拠 | 児童労働、強制労働、差別、職場内暴力とハラスメントの事例を報告することは、事前評価対処方式にとって不可欠であり、これにより、制裁を恐れてリスクを隠蔽されることなく、確実にリスクが特定され、軽減され、改善される。高リスク地域において報告がまったくない場合は、実際に事案がないのではなく、過少報告の可能性が示唆される。体系的な報告は、傾向の追跡、緩和措置の評価、説明責任の強化、そして影響を受けた者に対する迅速な改善措置につながる。 |
説明 | 苦情処理委員会に報告された、(女児または男児に対する)児童労働、(女性または男性に対する)強制労働、差別、および/または職場内暴力とハラスメントなどの事例の(ただし未確認のもの)の総数。報告された事例が、労働または人権侵害として確定事例にならない場合もあることに注意すること。 |
目的 | より安全で公平な、かつ法令を遵守した職場環境を構築し、長期的なリスクや負担を減らすこと。報告データの活用により、問題を早期に発見し、積極的な解決策を講じることを可能とし、バイヤーや審査員からの信頼性を高め、市場アクセスを強化し、長期的なビジネス上の関係を構築することにもつながる。また、リスクへの早期対応によって、労働者の満足度、生産性、定着率が向上し、より安定的かつ責任ある運営が促進される。 |
測定単位 | 数値 |
収集方法 | 報告された事例とは、レインフォレスト・アライアンスの改善プロトコルにしたがって、苦情処理委員会によって記録されたものを指す。 登録簿/記録に記録された事例の総数を算出する。 事案が発見されなかった場合、管理者は0(ゼロ)と記載し、なぜ事案が確認されなかったのか理由を記述する必要がある。 |
データ収集時期 | 1年を通じて、事案が報告された都度データを収集し、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
確認された事例
データ項目 |
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関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の専門要件5.1.4 |
根拠 | 確認された事例を追跡することは、事前評価対処方式が適切に機能していることを示す上で不可欠であり、報告された事例が適切に調査され、是正されることを保証することにつながる。確認された事例があることは失敗を意味するのではなく、人権リスクを特定し、それに対処するための透明性かつ責任あるアプローチが行われていることを示すものである。 |
説明 | 苦情処理委員会によって確認された、(女児または男児に対する)児童労働、(女性または男性に対する)強制労働、差別、および/または職場内暴力とハラスメントなどの事例の総件数。注:苦情処理委員会によって調査された結果、報告されたすべての事案が確認されるわけではない点に注意すること。 |
目的 | 児童労働、強制労働、差別、職場内での暴力やハラスメントといった事案を特定・報告・確認し、是正することで、安全かつ公平な職場環境を推進し、被害を受けた個人に対する責任と支援を果たすことを目的とする。 |
測定単位 | 数値 |
収集方法 | 苦情処理委員会が記録した、確認された事例の総件数を算出する。 事案が発見されなかった場合、管理者は0(ゼロ)と記載し、なぜ事案が確定されなかったのか理由を記述する必要がある。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
データ分析 | 確認された事例の件数は、報告された事例の件数と同じか、それ以下であることに注意すること。
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是正された事例
データ項目 |
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関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の基本要件5.1.4 |
根拠 | 是正措置が講じられた事例を追跡することは、事前評価対処方式が単に問題を把握するだけで終わらず、実際の改善につながっていることを保証するために不可欠である。是正措置は、被害を受けた個人の権利回復、再発防止、制度的保護の強化を目的として、改善プロトコルに沿って実施される。 |
説明 | 改善プロトコルに従って、事前評価対処委員会によって是正された、(女児または男児に対する)児童労働、(女性または男性に対する)強制労働、差別、および/または職場内暴力とハラスメントなどの事例の総件数。 |
目的 | 事案を特定・報告・確認し、是正することで、安全かつ公平な職場環境を推進し、被害を受けた個人に対する責任と支援を果たすことを目的とする。 |
測定単位 | 数値 |
収集方法 | 事前評価対処委員会またはその管理責任者によって記録された是正された事例の総数を算出する。 該当事例が発見されなかった場合、管理者は0(ゼロ)と記載し、なぜ事案が確認されなかったのか理由を記述する必要がある。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
データ分析 | 管理者が「報告済み」「確認済み」「是正済み」の各指標を特定したら、管理者は以下の分析を実施する。 確認された事例で、まだ是正されていない事例の状況はどうなっているか?それらの事例は、是正に向けて順調に進んでいるか?進んでいない場合、その理由は何で、対応できることはあるか? |
化石燃料の消費量
データ項目 | 年間の化石燃料の使用量(単位:リットル(ℓ)、キログラム(kg)、立方メートル) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の専門要件6.8.1 |
説明 | 化石燃料の総使用量の指標は、レインフォレスト・アライアンス認証農作物の生産と加工処理のために使用した化石燃料の総量を指す。これには、ディーゼル、ガソリン、液化石油ガス(LPG)(プロパン)、石油、石炭、天然ガスなどの燃料が含まれる。使用量は、定置型設備での消費(例:ボイラー、乾燥機)か移動型設備での消費(例:トラクター)かにかかわらず、燃料の体積(リットル、立方メートル)または重量(kg)で報告する。バイオ燃料の使用は含めない。対象範囲は、農場内のレインフォレスト・アライアンス認証を取得している生産および加工のみに限定される。農場への輸送および農場からの輸送は含まれない。 |
目的 | この指標は、認証農場のエネルギー効率の改善を図るため、また気候変動の緩和策への影響を評価するために活用できる。化石燃料の使用量は、使用されるエネルギー源の種類と、作業(生産と加工工程)で使用される機械に応じて計算し、文書化する必要がある。農場の典型的な燃料消費を見極めることにより、作業のパフォーマンス改善と使用削減を通して燃料消費を最適化する機会を特定する。したがって、エネルギー効率の向上には、記録管理の徹底が不可欠である。 |
測定単位 | このデータ項目は、リットル、キログラム、立方メートル(大容量の場合)で測定される。最小値は「0」、最大値の設定はない。 |
収集方法 | 定置型・移動型の各設備ごとに使用した化石燃料の量を記録する。 収穫および/または加工後の、年間化石燃料の総消費量を定量化する。 |
データ収集時期 | 少なくとも月1回。内部監査/自己査定前に、年ごとの情報を整理統合する。 |
電力消費量
データ項目 | 電力の年間総使用量(kWh) |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の専門要件6.8.1 |
説明 | 電力の総使用量の指標は、加工処理機械の使用をはじめ、レインフォレスト・アライアンス認証農作物の生産と加工処理のために使用した電力の総量を指す。これには再生可能エネルギー(太陽、風力、水力)および電力網からの供給電力の両方が含まれ、使用電力のキロワット時(kWh)で報告される。 |
目的 | 農場の典型的な電力消費を見極めることにより、作業のパフォーマンス改善と使用削減を通して電力消費を最適化する機会を特定する。 |
測定単位 | このデータ項目はkWhで測定される。最小値は「0」、最大値の設定はない。 |
収集方法 | 定置型・移動型の各設備で使用されるエネルギー源の種類を特定し、それが再生可能エネルギーか否かを明記する。 収穫および加工後の、年間総エネルギー消費量を定量化する。 この情報の記録方法に関するガイドラインは「手引き書N:エネルギー効率」を参照のこと。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
再生可能エネルギーの使用
データ項目 | 再生可能エネルギー源(太陽、風力、水力、バイオ燃料)の種類 |
関連要件 | 持続可能な農業基準第1.4版の専門要件6.8.1 |
説明 | 再生可能エネルギーの使用(あり・なし)、使用している場合はエネルギーの種類(太陽、風力、水力、バイオ燃料) |
目的 | 温室効果ガスの排出と大気汚染を削減し、気候変動の緩和策および近隣コミュニティの福祉に寄与するため、再生可能エネルギー源を採用する機会を報告または特定することを目的とする。 |
測定単位 | 「はい/いいえ」の質問、その後「該当するものをすべて選択」する形式。 |
収集方法 | 農場が再生可能エネルギーを使用しているかを特定し、使用している場合はそれを記録する。 |
データ収集時期 | 少なくとも月に1回、内部監査/自己査定前に年間の情報を整理統合する。 |
その他の情報
本付属文書の(第1.0版)初版日:2025年6月24日
「拘束力のある」と記載された文書は、認証に際して遵守する必要があります。「任意」または「拘束力のない」と記載された文書は、読者が要件やその他の拘束力のある情報を正しく理解し、その実施を支援するための非義務的な情報を提供しています。
翻訳免責事項
翻訳版に記載された情報の正確な意味について質問がある場合は、英語の公式版をご参照ください。翻訳により生じた誤りや意味の差異には拘束力がなく、審査や認証には一切影響しません。
レインフォレスト・アライアンスの書面による事前の同意なしに、本付属文書の複製、変更、配布、または再発行をすることは固く禁じられています。
詳細について
レインフォレスト・アライアンス認証の取得については、カスタマーサクセスチーム(customersuccess@ra.org)までお問い合わせください。
レインフォレスト・アライアンスの詳細については、https://www.rainforest-alliance.org にアクセスするか、info@ra.orgまたは レインフォレスト・アライアンス アムステルダム事務所(Rainforest Alliance Amsterdam Office, De Ruijterkade 6, 1013AA Amsterdam, The Netherlands)にお問い合わせください。